番外編(川島雄三作品) NEW 2014.2.22
『貸間あり』 川島雄三監督
1959年 宝塚映画

NEW 2018.4.10 画面写真追加


川島監督の代表作の1本である『貸間あり』は、井伏鱒二の原作では舞台は東京の荻窪界隈ですが、
映画では『還って来た男』『わが町』『暖簾』などの主なロケーション地域の一つである大坂の天王寺区夕陽丘町界隈に変えています。
物語の中心となる個性的な住人が住んでいる屋敷アパートはオープンセットを夕陽丘町(映画の中の看板では「夕陽ケ丘」)に建てたようです。
(実際には屋敷アパートが建てられたと推察できる現在の住所は夕陽丘町の隣の伶人町)
『わが町』『還って来た男』のロケ地めぐりをしている時に、現地の人から情報を得て、屋敷アパートのセットがあったと思われるロケ地の周辺に行ってきました。


写真は天王寺区夕陽丘町の隣の天王寺区伶人町にある「清水寺(きよみずでら)」の境内から撮影したもの。
映画で屋敷アパートの前の高台は崖になっている。
通天閣の位置は映画とほとんど一緒で、下の街並みも雰囲気が残っている。
ただしこの撮影場所は古い寺院の墓地なので、当時も映画のオープンセットを建てることは無理ではないかと思われる。
このお寺の隣には「大坂星光学院」という歴史のある学校があり、位置的にはその広いグラウンドの一部あたり
(撮影当時は学校の敷地で無かったなども考えられる)ではないかと推察できる。

映画では、タイトルの後に屋敷アパートに住んでいる与田五郎(フランキー堺)を訪ねて、
ヒロインのユミ子(淡島千景)が登場するシーンに屋敷アパートの前が映る。
「貸間あり」の札を指で回す淡島千景の後方には、崖下の街並みのの先に走っているバスや車の形が見える。
その通りは位置的に「松屋町筋」(大坂の人は「まっちゃまちすじ」と呼んでいるよう)で間違いないだろう。

浪人生の江藤(小沢昭一)が屋敷アパート前の高台でフランキー堺の写真を撮るシーンには、
カメラをかまえている小沢昭一の横に「夕陽ケ丘」と書かれた木のような住所標識が見える。

この辺りの高台は名前の通り、夕陽がとても美しい。また、「口縄坂」も含めて雰囲気のある坂が多い。

 

    

    


写真ページへ戻る

トップページへ戻る